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無電の旅人
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懐かしの標準周波数局 JJYを再現しよう!




●はじめに

 久々の休みの日、短波が聞きたくなった。通信室に上がれば短波の無線機はあるが、じっくり聞きたいというわけではない。リビングに転がっていたICOM IC-P7に長めのアンテナを繋いで周波数を10MHzにする。この周波数は「標準周波数局」の周波数だ。1秒に1回、ピッという変調がかかり、時が刻まれているのがわかる。どこかの国の標準周波数局が入感しているらしい。

 しばらくするとCWでID(自局のコールサイン)を打ち始めた。
 BPM BPM BPM BPM BPM BPM BPM BPM BPM BPM 
 そして女性の音声で中国語で局名を送信する。
 どうやら、中華人民共和国か中華民国の標準周波数局を受信しているようだ。

 仕事柄、モールス符号は頭に染み付いているので電信でくればなんとかなるのだが、中国語はさっぱりだ。JARL(日本アマチュア無線連盟)の資料から見ると、BPMは中華人民共和国西省浦城で、20KWの出力で運用されているようだ。

 そういえば、昔はこの周波数で10分おきに、日本の標準周波数局JJYが「JJY JJY 10時50分JST 」なんてやっていたものだ。現在は長波に下がってしまったので、聞くことはできなくなってしまった。

 確か、JJYの短波帯の閉局は、平成13年3月末日正午だった。それ以来、短波の標準電波局は中国や韓国の局を利用することになってしまった。精度の向上と周辺国の混信(恐ろしく周波数の精度が高いので、ビートが発生しないのだが。)を考えての移行だったと聞く。

 ああ、昔のJJYを聞きたいなあ。

 そんなことを考えていたら、パソコンベースで昔のJJYが聞こえるという話を耳にした。

● 標準周波数報時シミュレータSTEMUを入手しよう。

 長波のJJYは、40KHzと60KHzで運用されているが、音声でのIDは出していない。受信は可能だが、昔のJJYではないのだ。さて、パソコンベースで聞こえるJJYというのは、なんなのだろうか。

 実は、シュミレータだったのだ。ベクターでD/Lできるという。名称は「標準周波数報時シミュレータSTEMU」である。ベクターのページは、ここからどうぞ → http://www.vector.co.jp/soft/win95/home/se331067.html?s


 ソフト説明を拡大しよう。


 
 ソフトの説明を見ると、なかなか美味なフレーズが書かれている。

「長波にその座を譲ったかつての短波JJYサウンドがあなたのPCでよみがえります。」

 これだ。これがいい。早速ダウンロードを試みよう。


ダウンロードページに移動し、ダウンロードを始める。



ZIPになっていうので、一度保存してから展開しよう。




展開すると...




●立ち上げよう。


STEMUというプログラムが姿を現した。立ち上げよう。




操作パネルが現れる。

「なんちゃって標準周波数報時」という変な名前がついている。


「送信」を押すことでJJYが楽しめるようだ。
設定に「電波警報」というのがある。昔、JJYはIDを送出するときに電波警報をモールス符号で出していたのだ。

種別は3つである。

「安定」   N 伝播状態が正常
「不安定」  U 伝播状態に異常が発生する可能性がある
「攪乱」   W  伝播状態に異常が発生

とりあえず「安定」としよう。


立ち上げると、懐かしいJJYのツーツーツーツーという変調が聞こえて来た。JJYは59秒のところで、ポーという変調が入り、そしてピーピーピーピーに戻る。まさしく昔のJJYだ。

22時49分になった。さあ、JJYのIDがどうでるか??

JJY JJY 2250      N N N N N

あれ?モールスで打電されるが、音声は入ってこない。あわてて、説明のReadmeファイルを開けると、どうやら、JJYの音声ファイルは、ついていないようだ。

フォーマットは「PCM (44.1kHz 16bit mono) RIFF形式(.wav)ファイル」であることだそうだ。

 説明には、「音声ファイル(wav形式)を用意することで
 毎時00分,10分,...50分前の「アノ声」を再生します。」と書いてある。実際のデータはNICT(情報通信研究機構)が持っているらしい。

一緒に配布していないのにはわけがあるようだ。

NICTのサイトはここから → http://jjy.nict.go.jp/index.html
●音声ファイルをダウンロードしよう。

 アクセスすると、独立行政法人情報通信研究機構NICT 電磁波計測部門 日本標準時グループのサイトでデータを配布していることがわかった。

 ページは ここから どうぞ。


 サイトによると、「時報音声ライブラリは2001年3月まで、短波帯標準電波の通報で使われていた時報音声からサンプリングしたデータ集です。」とある。つまり、JJYの送出データそのものが配布されているわけだ。
フォーマットを確認しよう。「音声データは、44.1kHz、16bitモノラルのWAV形式」だ。ぴったりだ。

 注意事項によると、

------------------------------------------------------------------------------------------
   ■本ライブラリのご利用は、個人での利用に限らせて頂きます。商用での利用を禁止します。

   ■本ライブラリの再配布を禁止します。

   *JJYは情報通信研究機構の登録商標です。

------------------------------------------------------------------------------------------

ということだから、欲しい方はURLを参考に自分でダウンロードしなければならない。しかし、コールサインを登録商標にしているのは凄い。JJYを登録商標にしなければいけないほど、JJYという文字は狙われているのだろう。
「本ライブラリの再配布は禁止します」ということで、先のDEKOさんのソフトに音声データがつけられなかったわけだ。

 ちなみに、ダウンロードするファイルは
 「時報音声ライブラリ ダウンロード 8.8MB JJY.lzh」である。
 ページの下にダウンロード用のリンクがある。



保存するとJJYというフォルダができるので、

 

展開すると



JJYフォルダができるので、フォルダごと「stemu061」フォルダにコピー&ペーストする。





シュミレータと同じ階層に「JJY]フォルダを置くのが大事である。これで完了である。

さあ、立ち上げてみよう。


JJY JJY 2310 (モールス信号)     

「JJY JJY 23時10分 JST 」(女性アナウンス)

N N N N N(モールス)


おお、あのJJYがコンピュータから再生されたではないか。感動である。

 短波帯のJJYを懐かしく思う諸氏は、ぜひコンピュータに常駐させてみては如何だろうか。


●謝辞

このような素晴らしいソフトを開発されました作者のDEKOさん、そしてJJYの音声生データを配布していただいた独立行政法人情報通信研究機構NICT 電磁波計測部門日本標準時グループの方々に感謝申しあげたい。


●謝辞のあとだが...

 やはり、ここまでJJYを再現したのなら、コンピュータの時計も「日本標準時」に設定しておくべきだろう。ウインドウズXPならば、「日付と時刻のプロパティ」を開いてみよう。



タブにインターネット時刻というのがある。ここをクリックする。



現在は、ウインドウズのタイムサーバに接続するようになっている。マイクロソフトはアメリカにある。
このタイムサーバでは、サーバとクライアントの間で結構タイムラグがでてきそうだ。
そこで、先のNICTのサイトで、「時刻情報提供サービス」というのを使おう。
NICT公開NTPサーバ
は、http://jjy.nict.go.jp/time/index.html から入手できる。
 サーバ名は「ntp.nict.jp」である。



最後にOKをクリックして終了である。

 こうしておけば、アメリカまで時刻を参照しに行かなくてすむということである。

 なお、日本国内のNTPサーバに接続したから、JJYと同じ精度の時刻データが保証されるかといえば、それはない。インターネットを介する以上、数百ミリセコンドの遅延誤差は生じるのである。しかし、アメリカに接続するよりはるかにましなのはいうまでもない。

 この時刻サーバの利用はユビキタス社会実現のための基盤づくりとして、 (独)情報通信研究機構 光・時空標準グループが行っているものだ。
無料だから好き勝手に使っていいというものではない。アクセスの頻度が高いとそれだけリソースを喰うことになるのだ。他に迷惑のかからないように利用させていただくというのが肝要なのだ。

 次回の更新を見ると9月7日とある。今回はコンピュータの初期設定で問題ないと判断で設定完了としようか。


以上で「懐かしの標準周波数局 JJYを再現しよう!」を終了する。面白い環境が手に入ったものである。



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