直線上に配置

林道の旅人
since2005
風来坊 牧村が行く



広域基幹林道 尺間山線 佐伯市

走りたくてたまらなかった林道 尺間山線を走る

師走の終わりも近い12月29日。かけてから走ってみたかった林道 尺間山線を走る事にした。会社も仕事納めで6日まで仕事はない。
佐伯市内から旧弥生町の尺間山を目指す。尺間山の頂上に位置する尺間神社へ至る参道が林道なのだ。
実は尺間は「釈魔」であるようで、魔を諭す役を担っているのだそうだ。歴史をたどれば、盛雲法印という元宮尺間神社を開いた修験者が、天正元年7月21日に尺間山の山頂で悟りを開き、山頂に祠を建て祭ったことが起源とされる。これが霊峰尺間神社である。
 
ちなみに、この林道 尺間線は「広域基幹林道」として、平成8年に整備され佐伯市と津久見市を結ぶ道でもある。延長は17510m、幅員は4mの規格だそうだ。ちなみに「尺間スカイライン」というのは、尺間神社の駐車場までを言うらしい。
案内板が立ち並ぶ林道入り口。尺間神社が山頂にあることから、参道がそのまま登山道になっている。山頂からはほぼ360度が見わたせるということで、佐伯市民にとっては「豊後二見ヶ浦」と同じ「初日の出の名所」なのだ。普段は8合目あたりまで車で入ることが出来、しかも駐車場が整備されているので山頂を目指すのは難しくない。しかし、大晦日から正月三が日は、交通規制がかかるので、車で入ることは出来なくなる。麓から歩かねばならないのだ。
道はそれほど急ではないようだ。風来坊は佐伯人にもかかわらず、初詣にここを選ばない。ついつい豊後二見ヶ浦に行ってしまうのだ。なんというか、あっちは平坦だし....。
入り口に大きな看板である。「参拝者優先」とある。

了解しました。5キロの間、参拝者に出会ったら道を譲ることにしよう。
林道ならば、林道標識があるはずと見ると入り口から少し入ったところに見慣れた白い柱を発見。ああ、あったあった。
確かに林道標識だが、なんだか変である。
奥地林道尺間山線とある。着工は昭和40年、竣工は昭和63年だ。広域基幹林道 尺間山線ではないようだ。
幅員は4mでいいのだが、延長は12092.5mだ。あきらかに違う。
この林道標識は佐伯市とあるから、平成の大合併が終わった後に立てられたものだ。
もうひとつの林道標識を見てみよう。このタイプは初めてだ。文言はどこかの市のものと同じような。管理者は弥生町とある。白の林道標識より前に作られたものだ。
形状は大分市の林道標識に酷似している。もしかしたら、農林水産省あたりが規格を作っているのかもしれない。

困ったことに、この標識にも「広域基幹林道」の表示はない。まあ、いっか。とりあえず奥地林道 尺間山線を攻略しよう。
起点のメーターを確認しよう。8056km。さあ、いっけーい。
林道自体はコンクリート舗装されて走りやすい。
しかし、急なのぼりであることと、ヘヤピンカーブが何度も現れる。これは大型のワンボックスカーなどは運転に手間取りそうだ。
尺間山を巻くようにのぼっているようで、景色が次々と変わっていく。日向は暖かいが、日陰になるとぐっと気温が下がる。完全防備をしていなければ凍えてしまいそうだ。
しばらく走るが、対向車にも参拝者にも出会わない。
だんだん高度があがっている。これなら4輪でも小型車なら余裕だと思う。もちろん、オンロードの2輪も大丈夫だ。
おや、山頂が見えてきた。山のとっぽけん(一番高いところ:佐伯言葉)にあるのは、神社のようだ。まだまだ先は長いようだ。
のぼりが緩やかになってきた。あれ?広場がある。
駐車場だった。大きな鳥居がある。霊峰尺間神社へは、ここから上っていくのだ。
ほうほう、100段の階段を上ったら尺間神社か。思わず下車しようとして、野生のカンが動きを止めさせる。いやいや、ここからたった100段で頂上に行き着くわけがない。たぶん、100段の階段はあるのだろうが、ここからのぼりの道が続くのだ。

野生のカンは予兆と考え、今回はチャレンジを断念する。今回の目的は参拝ではなく林道攻略なのだ。
 駐車場から下界を眺める。山々の奥にいるようで現在の高度がわからないのが残念だ。
駐車場の一角に碑を発見。慰霊碑だとつれて帰ることがあるので、おそるおそる碑文を確認する。これは国木田独歩の碑だった。実は、国木田独歩は、山登りが好きで、この尺間の山頂の小屋に泊まったことがあるのだ。
 碑の裏。碑陰として国木田独歩が佐伯の山々を愛し感化を受けた旨が記されている。このような碑は元越山にもあった。元越山からの景色を見て落涙したということが記されていた。碑が駐車場にあるのは、頂上が神社の境内で立てられなかったのではと思われる。
参道はここまでと思ったが、まだ林道は続く。くだりになってきたところを見ると、鳥居のあたりが一番高い場所のようだ。
林道が開けた。いや、これは結構な高さだ。いつの間にかかなりのところまでのぼっていたのだ。
山の陰に入ると手先がしびれるような寒さになる。これから尺間山を下るのだろうか。
 おや、斜めに道が登っていく。標識が並んでいる。
 険しいのぼりだ。これも尺間神社に至る道なのだろうか。
 標識によると400段の参拝ルートだ。やはり先ほどの100段を遠慮して置いてよかった。見上げても400段の階段がないところを見ると、このルートものぼりの道の果てに400段の階段があるのだろう。野生のカンはのぼることをためらわせる。やはり、今日は林道探索だ。
 上り口の先に駐車場がある。ここまで、車で来ることも出来るのだ。いつかは登ってみたいものだ。

奇妙だったのは、道端に白いジャンバーを着たご婦人が立っていたのに、駐車場にバイクを止めたときには、どこかに消えていたことだ。まあ、参道をのぼられたので、姿が消えたように見えたのだろう。尺間山の参道はここまでである。

林道の旅人へ 広域基幹林道 尺間山線2へ

直線上に配置
inserted by FC2 system