2014年7月。梅雨が明けたばかりの休日にふらふらとバイクを走らせる。 ここは県道36号線、彦の内トンネル。佐伯市中心部から津久見市に抜ける山岳県道である。 夜に来ると車が中で停車していることもある物騒なトンネルのひとつだ。 トンネルの中が涼しいというわけで止まっているのではない。 この床木エリアのトンネルの上部に、女の顔のしみが浮き出るという都市伝説を信じてやってくるもののお騒がせである。 ここには何もいない(と思う)。天井に何かが写ってもそれは気のせいだろう。 |
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彦の内トンネルを過ぎてしばし走る。ここは寂れているようで、結構、通行量がある。いきなり停車すると追突されるやもしれぬ。 | |
津久見に仕事に行くときに、いつも気になっているのだが、県道36号線の右方向に白い柱があるのだ。車だと止めようがないのだが、バイクならいけるかもしれない。ここはもう津久見市である。 | |
かなり急な坂道だ。なにやらやたらと標識がある。 | |
やはり白い柱は林道標識だった。横長の標識は登山家のための案内のようだ。 | |
標識をみてみよう。 林道 尺間山線終点とある。延長は5286.8m。巾員は4.0mとある。管理者は津久見市。竣工は平成7年度とある。 |
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確か、津久見市管轄の「林道 尺間山線」をみたような気がする。確か、年末に走ったときに、寒さのあまり津久見市に下りる広域基幹道 尺間山線を断念して、彦岳線に方向を変えたことがあった。津久見市内中心部に下りると思ったら、こんな佐伯市よりに出ていたようだ。 これは攻略せずにはいられない。ちなみに標識の残りの2面は真っ白だった。見やすいように集中して記載したようだ。 |
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さて、出撃である。最近はなかなか新しい林道攻略に出ることが少なくなった。これまでの実行部隊から内務に仕事が変わったためである。 | |
愛馬はHONDA XR100改。ちょっと触ってはいるが、ほとんどノーマルの99CCだ。林道を走る必要から、モタードのくせにオフロードタイヤを装備する変なバイクである。会社では「ちまちゃん」と呼ばれている。私、風来坊牧村が乗るとかわいそうになるバイクらしい。 | |
走り出したとたん、標識が立ち並ぶ。黄色い2枚は大分県の林道標識。白いのは山づくりを行っているという標識だ。 | |
道路側の標識の色はあせている。これは結構、古いもののようだ。尺間山の参道にあったのは、弥生町、佐伯市の標識だった。ところが、ここは大分県である。 | |
奥の方にある標識は「現在工事中」とある。つまり、この流れからいくと、弥生町の林道 尺間山線が、市町村合併で佐伯市になり、佐伯市の林道として整備される。そして、広域基幹道として大分県のかかわるところとなり、大分県の標識がたつ。現在、工事中というのは、大規模な基幹道への工事をしているということだろう。標識を眺めるだけでも、この林道の歴史が見えてくる。面白いものだ。 | |
ついでにさりげなくたっている標識は「落石注意」。さりげなくなんてないではないか。ここにじっとしているのは危険だということだ。さっさと移動しよう。 | |
いきなり崩落である。どうも地形的に崩落が起こりやすいようだ。同じような規模の崩落はあちこちで見られるが、土砂を掬い取った後が残されるだけだ。林道は一般道とは違うのだ。 | |
林道の眺めは悪い。しかし、暗いというのではなく両側に緑のカーテンがかかっているような状態である。のぼりのきつさを考えなければ、結構な散策道になる。 | |
何かある。近づいてみよう。 | |
ちょろちょろ流れる2本のパイプから流れ出すのは清水だろうか。手拭きやひしゃくが用意されている。ここは登山家にとってオアシスだろう。手に受けてみると7月の夏の暑さにも負けずに冷たい。飲みたい欲望がわいてくるが、知らない水はいただかないことにしている。十分腕を冷やして旅を続けることにする。 | |
走りやすい道だ。左側の側溝も掃除されたようできれいになっている。管理されている林道だ。 | |
5速では速度が落ちてくるので4速中心で走る。鳥の声がにぎやかだ。 | |
おや何かの標識と分岐らしきものが...。 | |
ここは彦岳の登山道入り口だった。いきなり急な階段が始まる。ちょっとのぼりたい気がするが、ここは不案内だ。バイクだけ残して下山していないなんてことになると、笑えない。 | |
しかし、県道の分岐といい、林道からの分岐といい、登山関係者の努力がわかる標識だ。たぶん、登山道の分岐にも標識が打たれているのだろう。 | |
反対方向を向いていたのは、各自のごみは持って帰ろうというマナーの呼びかけだった。うん、いい仕事していますな。 | |
木々のトンネルをくぐりながら走ると、前方が開けてきた。 | |
頭上が開け道がなだらかになる。のぼったりくだったりが始まる。おそらく尾根を走っているのだろう。 | |
木々が低木になる。 | |
かなりの高所にいるようだ。彦山の登山道を巻くように山肌に沿って尺間山方向に走っているようだ。 | |
道の先が明るい。広場か、分岐か。 | |
ダンプが並走できるような道だった。新しい林道だろうか。 | |
何かの集積所になるような感じもする。鎖があるということは、進入できないということだ。バイクなら横の隙間から入ることもできるが、山のお約束は守らなければならない。 |