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無電の旅人
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ICOM IC-2N 「風来坊」的送信改造マニュアル



改造にかかる注意
ICOM IC-2N型アマチュア無線機を我流で改造するため、どの無線機にもこの記述が当てはまるとは言えない。これは技術資料であるので、改造は自己責任でどうぞ。


ICOM IC-2Nを手放したいという方が現れた。何でも倉庫にあった無線機を処分して最新型のハンディを買いたいのだそうだ。IC−2Nとは、ICOM社が、かつて世界的にブームを巻き起こした携帯型アマチュア無線機である。主宰がアマチュア局を開局したころには、IC−02Nがブームとなっていた。いつかは手に入れたい無線機であったが、なかなかきっかけがなかったのだ。
ひょんなことで入手が出来たので、早速メンテナンスを試みることにした。当然、完動品であることは確認済みである。
入手してチェックをしていると、000から999までの全ての周波数で送信ランプが点灯することがわかった。取扱説明書によると、MHz帯の奇数表示は145MHz、偶数表示は144MHzとなるらしい。サムホールスイッチは0から9まであるので、不要な周波数はブロックする仕様らしい。
アマチュア無線の周波数は国ごとに異なっている。アメリカ合衆国は144.000MHzから148.000MHzの範囲がアマチュア無線の周波数であったのに対し、日本は144.000MHzから146.000MHzの範囲がアマチュア無線の周波数になっている。
ICOMの設計思想は、周波数に制限をつけないジェネラル仕様の無線機を設計し、国ごとに違う周波数に適合した制限をかけて、アメリカ仕様や日本仕様とするものだ。部品の共通化が図れるので、製造しやすく利益も上がるという一石二鳥な方法である。
制限を外したジェネラル仕様は、世界各国で業務無線用として使われ、発展途上の国では軍用無線機にも使われていたという。
さて、免許申請が終わっていないので、ダミーロードをかませて送信試験をしていたら、妙な事に気づいた。149.99MHZに設定したIC−2Nを送信にして、近くの無線機で聞こうとしたら、聞こえないのである。送信に制限をかけているので、149MHzのサムホイールスイッチは、145MHzになるのだが、変である。
なんと、送信していたのは、149.99MHzそのものだった。ダミーロードがなければ、電波法違反である。これは使えない。ということで、改造を行うことにした。
ダミーロードをかませているから、安心して送信中。他の無線機では140.000MHzで信号を確認。ここが最低周波数になる。
ここが上限になる。送信周波数は149.99MHzである。1.5Wの出力であるので、ダミーロードをかませていても至近距離なら交信できそうだ。
かつての某業務無線局が使用していたアップリンク周波数で送信。ダミーロードをかましてなければ、すぐに方向探知車がやってくるところだ。
「無線保全、ただいま試験中。本日は晴天なり、本日は晴天なり、本日は晴天なり。以上無線保全」
 現在は、デジタル化して上の周波数に移行してしまったので、受信解読することはできなくなってしまったが、かつては、こんな周波数でやっていたのだ。
おふざけはそのくらいにして、対策を進めよう。
まず、ねじを外そう。
外すねじは、6個である。
本体の左側のねじを外す。
さらに右側のねじを外す。
次が底面の4つである。
ふたは、なんなく外れる。いかにも無線機という基板である。基板の下の方にある空白は、日本では必要ないプラス5KHzなどの回路である。基本は同じだが、仕様地ごとに部品を組まずに対応する。素晴らしい設計思想である。ここに部品を補ったら、プラス5KHz機能のついたIC−2Nができるというわけだ。
背面の筐体を見ると、シールで塞いであるが、レピータ用の穴が開いている。
表を見るときれいに塞がれており、ここに隠れ穴があるとはわからない。
IC−3Nでも2つしか使っていないが、仕様地によっては12.5KHzステップに対応する+5KHzアップスイッチも装備されていたらしい。
次に両面に装備された基板の裏側にアクセスすべく、ねじをひとつ外す。
いろいろな線が基板を走っている。では改造と行きましょうか。
さて、周波数拡張の部分から見ていこう。
フレキシ基板の下にTC9122が隠れている。このフレキシ基板のランドを繋ぐと受信改造が可能となる。みたところ、受信改造の措置はしているようだ。
次にサムホイールスイッチの下の青いリード線をカットすると受信については制限が解除される。無造作に切ったようで、リード線の片側が宙に浮いている。これは危険だ。保護しておかねば。

 さらにWEBでは公表できない位置のリード線がカットされていた。これが送信の制限を解いていたのだ。しっかりと繋ぎなおす。
これで、受信周波数は140.000MHzから149.99MHz。送信周波数は144.000MHzから146.0000MHzの無線機になった。念のため、999にサムホイールスイッチをあわせてPTTを押すが、ごらんのとおり。受信はしているが送信はしないという安心のIC−2Nに生まれ変わった。

さて、佐消本部でも聞いてみようか。サムホイールスイッチを操作しかけて気がついた。あれ、これでは聞けないではないか。佐消本部はこの無線機の受信域外だった。

IC−2Nの受信周波数は140.00MHzから149.99MHzまでである。TC9122だから、150MHz帯に切り替えることも可能だが、今回はここまでにしておこう。以上でICOM IC−2N改造を終わる。


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