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無電の旅人
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H−250/U 米軍ハンドセットを改造する




米軍のH−250型ハンドセットを、お客さんからいただいた。なんでもサバイバルゲームで川に飛び込んだら、聞こえなくなったという。まあ、ミリタリースペックではあるが、電気製品は普通、川に持って飛び込まないものだ。AN/PRC−25は乾かしたら大丈夫だったというが、無茶にもほどがある。AN/PRC−25とは、第2次世界大戦あたりの真空管式の無線機だ。乾かしたら作動するとは、さすが米軍といかなんというか。

ちなみにAN/PRC−25を運用するに当たっては、50MHz帯で運用しているのだそうだ。AN/PRC−25は30MHzから76MHzまでの周波数を50KHzステップで網羅するマンパック無線機だ。アマチュア無線周波数で固定して使っているというお客さんは、もちろん、合法のアマチュア無線局である。
さて、件のH−250というのは、米軍が使う軍用無線機に接続して使うハンドセットである。このH−250/Uは米軍の出てくる映画ではおなじみのハンドセットだ。ジープにつけられたPRC−77などから延びているコードの先は、このハンドセット。運転する兵士の横で、H−250/Uを耳に当てた上官殿が、指令を飛ばす。なんとも格好のよいシーンが思い出される。なぜ、車載の無線機にハンドセットかというと、通信の内容を回りに流すことを防止するためと、爆音の中でも通信が出来るようにするためらしい。確かにジープはオープンだ。
ハンドセットのスピーカとマイクの間の筐体に、製作したメーカーの刻印が入っている。

ハンドセット H−250/U型
エレクトリックボイス社
DAAB07−87−T015

エレクトリックボイス社は、EV社と略称で呼ばれる音響関係の会社である。6本のビスでとめられている中にうふふな機密があるのだろう。お客さんがビスを開けようと奮闘したようだが、これ、マイナスドライバーではうまく開かないのだ。妙にビスが曲がってしまっている。ここだけのお話だが、軍用ナイフがちょうど合うのだ。これは戦地で修理をする場合を考えてのことだそうだ。
無骨なコネクタである。さすが軍関係の製品はしっかりしている。しかし、このコネクタに合う無線機を主宰は持っていない。不動の製品でもあるので、外だけ利用させてもらうことにしよう。コネクタとカールコードはそのまま外しているので、必要な方は掲示板ででも連絡していただければお譲りするが...。
スピーカのキャップ部分を外そうとしたが、どうにもならない。米軍規格に合わせるため、しっかり防水処理をしているらしい。仕方がないので銘板のビスを外した。泥水を掃除するのには手間がかかりそうだ。スピーカからの線に音声ラインを接続したら、不動といいながらしっかり音声が出る。なかなか堅めの音だ。通信向きだ。銘板と本体の間にもゴムで防水処理がされているようだが、よる年波とでもいうのだろうか、ここのゴムがひどく劣化している。ここから水が入ったのだろう。
マイクのキャップも外れない。仕方がないので銘板のところで、無線機へのマイクラインに繋いでみたら、インピーダンスが合っていないようだが、大きな声で話せば、変調が乗るではないか。これは、このまま利用できそうだ。
PTTのところを開けたら、どっと水が出てきた。水没してしばらく放置していたようだ。中は凄いことになっていた。ちなみにこのねじもナイフで開けると具合がいい。一方はねじ山をなめていたので、径の合うプラスねじに交換しておいた。ここも分厚いゴムで防水処理されていたが、水を外に出さないように機能しているとはなんとも...。
さて、どう改造しようか。固定無線機につけても面白いが、やはり、このようなグッズは他人に見せて何ぼだろう。よし、ハンディー機用に使えるようにしよう。
ちょうど、ICOM HM−46型スピーカーマイクロフォンのジャンクがあったので、コードと端子を流用させてもらった。ハンドセットの中は泥水で結構あわわな状態だったので、撮影はしていない。いやあ、ちょっとレストアの気分である。
あまりにも細いカールコードであるが、なんとか形になった。これでもきちんと通信ができるのだ。
ICOM IC−02Nに接続した図。なんとなくいい感じである。ちなみにIC−02Nシリーズは(海外ではIC−02AT)警察や各種業務、軍用にも使われる業務無線機だ。アフガニスタンのゲリラ軍が、通信用として腰にこのシリーズを装備していたのは、結構有名な話だ。
ICOM IC−02Nと佐伯消防本部受信体制に入るH−250/Uハンドセット。佐消本部から入電である。気持ちよくハンドセットで受信が出来るではないか。堅めの音が聞きやすい。ふむ。レストア完了だ。

画像は市販のブックエンドにぶら下がるICOM IC−02NとH−250/Uハンドセット。ちょうど背面のクリップがブックエンドに合うのだ。
ちなみ続きに、IC−P7にH−250/Uハンドセットを接続してみた。いやいやこれは...。まさか、ハンドセットと同じ大きさだとは...。
IC−P7の小ささを実感するとともに、軍用ハンドセットの無骨さを改めて思い知ったかんじである。とりあえず、IC−02Nで使うことにしよう。以上で、H−250/U 米軍ハンドセットを改造するは終わりである。


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