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林道の旅人
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風来坊 牧村が行く


長目半島線 津久見市・臼杵市2


県道と明らかに違う趣を見せて林道が延びている。県道がアスファルトなのに林道がコンクリート舗装だ。これは境界がはっきりしてよい。
林道 長目半島線。これは雄大な名前だ。実は名前のとおり、津久見側の県道707号と臼杵側の県道707号を繋ぐ山岳林道なのだ。

これまで県道707号は、それぞれの市から延びてはいたが、先端部分で終息しており、台風などで途中が崩落したら崩落部分の先は孤立していたのだ。この林道 長目半島線で双方が接続されることで巨大なループが形成され、孤立は避けられることになる。その意味ではとてもありがたい林道なのだ。管理上の名称は、森林管理道 長目半島線。規格は一般の林道より高位にある。
黄色い林道標識には、林道の規格や幅員、延長などの情報は何もない。確かに林業従事者は情報を持っているので、名前だけで十分なのだろうが、林道ライダーとしては、この林道がどんな幅でどのくらいの長さかの情報がないということは走ることに躊躇するというものだ。

両市の農林水産課からの情報を見ると次のようなことがわかった。

幅員 5m

延長 2140m

長目半島の峰を越えて対岸にいたる、森林管理道の山岳林道である。
津久見側からはコンクリート舗装の林道がうねうねと上っていく。コンクリート舗装というのは理由がある。アスファルト舗装は国土交通省管轄の道ではおなじみであるが、今回の林道のように国土交通省の道路の規格を越える道の場合、保全の関係からコンクリート舗装が採用されるのだ。

ありていに言えば、アスファルト舗装の道路の場合、夏の暑さや敷設時の温度で、急勾配の道路にアスファルトが定着しないのだ。粘度の高い液体として、重力に従い道の下のほうにうごきはじめる。それでは舗装の役に立たないのだ。だから温度でやわらかくならないコンクリートを舗装材料に選択するのだ。

この勾配は10%という。
位置情報を確認しておこう。
北緯33度06分983秒
東経131度53分849秒

ここが林道のスタート地点だ。ALTとは、衛星が測位した高度である。7mとある。
距離は8222キロをさしている。県道707号に入るときが8215キロだったから、7キロの道のりである。
さあ、攻略だ。スタートした途端、かなりの急な坂が待ち構えている。傾斜10%というのは伊達ではない。普通の県道では考えられないほどだ。さすが林道、規格が違う。
山肌を斜めに進む、林道長目半島線。目的地は半島の峰だ。
バイクを止めるのも難しい傾斜である。画像でわかるだろうか。
走り出して3分もたたないのに、景色を見れば下界ははるか下に。ぐいぐい上ってきただけのことはある。
ちょっと勾配が緩やかになったと思ったら、舗装がアスファルトに変わった。ハイブリットである。
峰が近くなってきた。延長2273mの半分ほどで峰を越えなければならないのだから、勾配が急になるのは仕方のないことだ。しかし、これは動力をつかわないMTBなどは心臓破りとなるだろう。
ふと見れば、対岸が下に見える。まだあまりすすんでいないのにここまで登ってきたのだ。すごい林道である。
しばらく登りを楽しんでいると、標識があった。舗装がコンクリートになるところに標識が立っている。
臼杵市との市境だ。

ちなみに林道 長目半島線は、県のレベルの森林管理道の扱いだ。したがって市を越えるが、林道自体は連続する。
津久見市側は1793m、臼杵市側は480mである。現在は、管理は両市に降りてきているという。

さあ、市を越えよう。
位置確認である。
北緯33度07分341秒
東経131度54分273秒である。

注目したいのはALTである。先ほど7mという高度を記録した。今は108mである。つまり1793mで101m登ったことになる。
市境を過ぎると、これまた急な傾斜となった。勾配という言葉より傾斜がふさわしい。舗装はコンクリートである。
しばらく下るといきなり幅員が広がった。左に造成地のようなものが広がる。

こんな山の中に造成地が?

別荘を建てるための造成地だろうか。

理由はすぐに判明した。林道に沿ってお墓が段々と設けられているのだ。どうやら、臼杵市側の林道 長目半島線は、津久見市側より先に開設になっていたが、墓地への道としても活用されているようだ。
進むと黄色い標識が見えてきた。青い標識も立てられている。林道 長目半島線はここで終わりなのだろうか。
三叉路に接続した。4つの標識がある。正面は「臼杵市市街」とある。右の2つは林道の標識と津久見市を示す案内板である。左の標識はなにも表示されていなかった。
この三叉路の右から左に走る道は、臼杵市泊り内地区の農道である。
右に行くと泊ヶ内地区に下りる。そして臼杵市側の県道707号に接続する。
左に行くと山の中を大きく迂回して県道707号に接続する。

臼杵市街方向に行くのは間違いないが、右に行ったら、臼杵市の中心街にすぐ接続するというのではない。
管理者が臼杵市地域振興部農林振興課になっている。どちらの市側が起点でどちらが終点なのかは表示されていない。まあ、しいて言えば、この黄色い標識が起点で、市境が終点ということだろうか。
あれ?GPSの表示がおかしくなっている。
東経131度54分233秒は読み取れるが、北緯の表示がなくなっている。これは困った。ALTが66mということで、108m−66mで、42m降下したことがわかる。臼杵市側は480mだから、どれだけの急勾配かはおわかりいただけるだろう。
距離を確認しよう。津久見市側の起点で確認した距離は8222.7キロだった。ここでみると8224.9キロである。端数を入れて考えると2.2キロとなる。面白い林道だった。
誇らしげに「津久見」を表示する案内板。これで、今年の台風のときもどちらの県道が崩れようとも孤立することはなくなるのだ。

なぜ、林道で県道を繋いだかが疑問になっていたが、後日得た情報では、県道の規格ではトンネルを掘って接続するか、半島の先端まで道を通さなければ接続ができなかったようだ。林道規格なら峰越えができるということで、設けられたと聞く。林業の振興の道、林道も生活道路として活用されることもあるのだ。

以上で、森林管理道 長目半島線を終わる。

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